債務整理によって養育費は減額・免除することができるの?

債務整理によって養育費は減額・免除することができるの?

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2018.07.05

養育費が払えなくなるのはよくあること

養育費が払えなくなるケース

子供がいる夫婦が離婚した場合、子供を引き取らない側の親は、もう片方の親に対して養育費を支払う必要があります。養育費の金額を決定するのは、離婚時がほとんど。そのため、離婚した時には仕事が順調で十分な収入がある場合でも、離婚してからしばらくたって環境や収入が変化し、養育費の支払いをすることが難しくなることはよくあることなのです。

例えば、離婚時は安定したサラリーを得ていたにもかかわらず、その後脱サラし個人事業主となって収入が減るケースもあるでしょうし、会社でリストラにあい、より月収の少ない仕事に就かざるを得なかったというケースも少なくありません。

不慮の事故や病気を患い、失職を余儀無くされたということもあるでしょう。そのような場合、離婚時に定めた養育費を支払おうとすると、生活が成立しないという場合は往往にしてあるはずです。

養育費だけなく、多額の借金を抱えていて、毎月の支払いをこなすのが困難な場合など、債務整理を検討する場合もあると思います。そのような場合、養育費の支払いも借金と同じように減額なり、免除して欲しいと思いたくなるところですが、債務整理によって養育費を減額・免除することはできるのでしょうか?

そもそも養育費とは?

それについて答えを出す前に、まず養育費について簡単に押さえておく必要があるでしょう。夫婦が離婚した場合、子供はどちらかの親が親権を獲得し、引き取るのが一般的です。その場合、親権を持つ親が子供を養育することになります。

親権を持たない親も、子供の親であることに変わりはありません。そのため、子供を監護養育するのに必要な費用の一部を、親権を持たないほうの親が支払う決まりになっており、この費用のことを養育費といいます。

ちなみに、養育費は、親であるという事実があれば発生します。つまり、子供を認知していれば、法的に結婚していなくても養育費を支払わなくてはなりません。また、養育費は、毎月支払うのが原則となっており、子供が二十歳を迎えるまで親権を持たない親は支払い続けなくてはなりません。

債務整理によって養育費は減額できるの?

養育費は減額も免除もされない

養育費についての説明からわかる通り、定期的に支払う義務がある費用という意味では借金と共通していますが、養育費とは借金とは根本的に違うものです。借金であれば、返済が難しくなった場合、債務整理することで支払いに猶予を与えられたり、免除されたりできることがあります。

ところが、債務整理によって、養育費の支払いに猶予が設けられたり、減額・免除されたりすることはありません。

というのも、養育費とは、子供を育てるために必要な費用であり、親にとっての義務です。親が子供の養育から逃れることはできませんから、借金のように、返済が免除されるということはないのです。

任意整理だけでなく、個人再生や自己破産する場合でも同じです。養育費は「非減免債権」として免責の効力が及ばないとされ、減額・免除できないことが法律で明文化されており、債務整理の対象にはなりえません。

慰謝料は減額・免除の対象に

他方、もし離婚原因が一方の親による不倫や浮気などで、もう一方の親に対して慰謝料を支払っている場合は、債務整理によって免除される可能性はじゅうぶんにありえます。「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償債務」の場合は、減額も免除もされないと定められていますが、その判断は裁判所に委ねられています。

慰謝料は「非減免債権」には該当しないとみなされることがあり、養育費と違って債務整理の対象に含まれる可能性があることを覚えておきましょう。

養育費を減額するには

減額交渉をする

とはいえ、ないものを支払うことは当然のことながらできません。債務整理によって養育費を減額・免除できないのであれば、借金をしてでも支払わなくてはならないのでしょうか?もちろん、そのようなことをする必要はありません。養育費の支払いが困難となった場合には、いくつか方法があります。まずは両親で話し合いすることになります。

親権を持つ親と、そうでない親とが話し合いを重ね、解決を目指します。離婚してから事情が大きく変わり、収入や暮らしぶりに変化が起きたことについての現在の状況を話し、相手に対して直接的に理解を求め、養育費を減額してもらうよう伝えましょう。減額交渉の結果、内容に納得してもらえたなら、養育費を無理のない範囲の金額に設定し直してもらえる場合もあるようです。

家庭裁判所で養育費調停を起こすという手も

どれだけ困窮していたとしても、話し合いの結果、減額に応じてもらえるとは限りません。その場合は、家庭裁判所において養育費減額調停を起こすという方法もあります。本来、養育費の金額は、親権を持たない親の収入に応じて適切とされる金額が定められています。

そのため、離婚してからだいぶ時間が経過してからだとしても、収入をはじめとする当人の状況によって養育費の金額を再設定することは可能とされています。

手続きとしては、まず家庭裁判所で養育費の減額調停を申し立てます。両親それぞれの収入に関する状況について調査したのち、養育費をより適切と思える額にするよう、話し合いが進められます。

養育費減額調停を審判へと移行する

調停によっても決着せず、減額が叶わないとなれば、次の段階として、養育費減額調停で審判の申し立てをします。審判へと移行することで、審判官(裁判官)がすべての事情を考慮したうえで審判を下します。親権を持たない親の収入状況を考慮して、養育費を適当と思われる金額に設定してくれるはずです。

離婚したあとの事情の変化によって養育費の金額が不当なものとなってしまった場合、減額につなげるのに以上のような方法があることを覚えておくとよいでしょう。

親権を持つ親が債務整理した場合

債務整理すると養育費も差し押さえに?

親権を持つ方の親が債務整理をする場合も考えられます。借金の返済を免除された場合、養育費を受け取れなくなってしまうかというと答えはNOです。借金を返済しないからといって、養育費を受け取れないということにはなりません。

というのも、先ほど説明した通り、養育費は子供を監護養育するのに必要な費用です。債務整理をした人の収入とはみなされないため、受け取り続けることができます。もちろん、裁判所には、離婚協議書など、養育費について書かれている書類を提出するとともに、養育費を受け取っていることを伝える必要があります。

書面として残っていない場合は、あとで問題にならないよう、新たに作成し、債務整理を手続きする際に提出しておきましょう。

債務整理後に養育費を受け取るうえでの注意点

養育費を現金書留、あるいは直接手渡しで受け取っているという場合であればまったく問題ありませんが、定期的に銀行に振り込まれているようなら注意が必要です。債務整理、とくに自己破産する場合、破産者の財産は換価処分され、債権者に配当する決まりになっています。

破産者の自由財産が保有できる範囲を超えている場合、管財事件が適用されてしまいます(ただし、保有できる自由財産の範囲をいくらとするかは裁判所の判断に委ねられています)。管財事件となってしまうと、「引継予納金(破産管財人への報酬など)」がかかってしまいますし、預金が差し押さえられる可能性も否定できません。

債務整理でも、自己破産手続きに限っては、なるべく養育費を銀行口座に入れたままにせず、別の方法(弁護士に預けるなど)で管理することが望ましいといえます。

もちろんいうまでもないことですが、養育費は子供の健全な育成のために使われるべきものです。他の目的に使うことは許されません。万が一、そのような行為をしていて、裁判所に知れてしまった場合、大きなトラブルに発展してしまいます。くれぐれも注意してください。

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